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Scrapboxで個人の暗黙知が自然と社内へ共有されていく。Loiloの活用事例

2018年9月5日

Loiloは教育系ICTの「ロイロノート」など授業支援ツールを開発する会社です。ロイロノートは公立、私立の小学校・中学校・高等学校・大学・塾 1000校以上に導入され、子供たちの創造性、思考力、プレゼン力の育成をサポートしています。今回はCEO 杉山浩二様にお話を伺いました。

ゲームプログラマ時代に趣味で動画編集ソフトを開発

私はもともとゲームプログラマとしてナムコでゲームセンター用のゲームを開発していました。また、兄(取締役)はセガでデザイナーとして働いていました。趣味で一緒にVJをしていたので、よく映像を作っていたんです。私たちは初代のPower Macが出てきた時から映像を作っていたのですが、当時の映像制作はとても大変でした。

実は動画編集や画像処理とゲームの計算方法は同じです。私がゲーム開発をしていたこともあり「ゲームがリアルタイムで動作ができるのに対して、 動画編集の方は動作がとても重い。その違いは何なのかな?」とずっと考えていました。ゲームにはGPU という専用の画像処理のチップが使われていて、GPUを使えば汎用的な画像処理や動画編集も速くなるのではないかと思ったんです。それを実証するために、まず我々ががVJで使う映像ソフトを開発してみることに。それを改良し、汎用的な動画編集ソフトに路線変更してIPAの未踏ソフトに応募したところ、採択して頂きました。そのソフトを開発・販売する会社として株式会社LoiLoを作りました。

動画編集ソフトから教育支援アプリへ

開発していた動画編集ソフト「ロイロスコープ」は、直感的に使え、これまでの動画編集ソフトのイメージを覆すものでした。ありがたいことにたくさんのお問い合わせをいただき、NHKの教育番組が主催するイベントで、子どもたちが利用する動画編集アプリを開発することに。これが、教育業界へ目を向けるきっかけとなったのです。

当時はスマホやタブレットが普及しはじめていましたので、生徒がタブレットで使えるような編集アプリの開発に取り掛かりました。この編集アプリを試験的に学校の先生に試してもらう中で、動画編集というより授業の教材として利用できることがわかりました。例えば、国語の授業で「主語と述語をつなげて文章にしてみよう」という課題に対して、生徒がこのアプリで素材を集め考えます。また、写真、動画、テキストを簡単に組み合わせて動画にできることから、授業で利用するプレゼンを作成するのにも使われています。

先生や生徒の使い方から着想を得て、これまでの動画編集アプリを改良。2013年に未来の文房具としてリリースしました。それがいま一番力を入れている「ロイロノート・スクール」です。その後WindowsやAndroid、Chromebook用のアプリも作り、現在は1000校以上の学校でインフラとして活用されています。この分野ではトップランナーです。

社内のノウハウ共有にScrapboxを導入

Scrapboxは1年くらい前から本格的に利用し始め、はじめは新入社員に向けたノウハウを記載するために使い始めました。

以前は別のドキュメントツールに情報共有をしていたのですが、書いた瞬間しか見られず、情報が増えるにつれて埋もれていました。それに検索で見つからない、リンクをつけるのも難しい。知識を貯めていくのには使いにくいなという印象でした。

個人の暗黙知が自然に明文化され社内へ共有されていく

はじめはこれまでの情報共有ツールと同じ感覚で、ノウハウを共有するためのコンテンツを特別に作っていました。ただ最近では、エンジニアが自分の作業メモや調べたものをどんどん追加してくれるようになっています。いままで暗黙知になっていた技術的な情報などが明文化され、自然と社内で共有されるようになりました。

社内ブログやドキュメント整備に特別な労力をかける必要がないのが素晴らしいと感じています。

スタッフの間で建設的な提案や議論が生まれる

例えば、 あるエンジニアが「調子の悪いサーバの原因を調べる」のような備忘録を書いてた時、それを見た別のエンジニアが建設的な提案をしてくれたことがありました。

Scrapboxという自分で簡単にアウトプットできる場所があることで、建設的な議論が生まれる風土が出来上がったのだと感じています。

開発のアイディアを育てるのにもScrapboxを活用

バグの追跡はGitHubのissueでいいんですが、新しい機能を開発している時は何となく相性が悪いと感じていました。これまでも気づいたことをメモで残していましたが、気がついても改善アイディアが浮かばずそのまま埋もれていくことも多かったです。

最近では、Scrapboxで「#仕様考え中」というタグを作って考える課題を明確化しておいて、思いついた時にアイディアを追記しています。こうしていると「この仕様でいけるぞ」と思って書いたことも、次の日に見ると「あれ?」と思うこともしばしばです。

1回完全に忘れることができ、アイディアについて客観的な視点で見られるというのはとてもいいことだと感じています。

もしそのままリリースしてたら大変な手戻りになりますし、1人でも多面的に評価して、アイディアを確かな仕様まで育てている感覚で楽しいです。

開発中の機能レビューに利用

自分でユーザーテストをした時に気づいたことを書いていくようにしています。機能レビューみたいな形ですね。

新機能の開発中は変更したい箇所やエンジニアと相談したいこともたくさんあります。まずは機能レビューとしてそれらをScrapboxに書いて、そのレビューした内容を一緒にを見ながら説明して「じゃあ次はこうしましょう」という方針を決めています。

こういうことを何度も繰り返して開発を進めていけるのが良いですね。それも自然にログとして残っていくので、後からなんでこういう仕様にしたのか経緯を追うこともできます。

Scrapboxについて

企画書、社内マニュアル、議事録など、チームに必要なドキュメントを共同で瞬時に作成できます。ドキュメント同士を関連性を元に自動で繋げ合い、何千、何万ものドキュメントを管理する苦労から解放してくれることが特徴です。