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研究開発におけるキュレーションにベストマッチ!LayerXの“Trustful”なScrapbox活用術

· #会社で使う

2018年にGunosyとAnyPayが共同出資で立ち上げた「株式会社LayerX(以下、LayerX)」。

Gunosyの創業者、福島良典氏が代表を務める同社は、ブロックチェーンの技術に特化したコンサルティングやシステム開発・企画・運用、研究開発といったさまざまな事業を展開しています。

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そんな同社は、研究開発を行うベンチャー企業の中でもいち早くScrapboxを導入しました。

今回はリサーチャーの中村龍矢さんに、Scrapboxの使用用途や使い勝手を伺い、技術研究とScrapboxの親和性を探ります。

中村龍矢様

株式会社LayerX Researcher

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LayerX R&Dチームにて、コンセンサスプロトコルや形式手法によるセキュリティ検証の研究に従事。現在はCBC Casperの理論の完成及びEthereumへの導入のための準備に注力しており、今年4月にCBC Casperとその形式的検証に関する論文を発表
(ブログ: https://medium.com/layerx-jp/cbc-casperと形式的検証-c456fddbd5c5)。

東京大学工学部在学中。Twitter: https://twitter.com/veryNR

Scrapboxは社内向けのwikiと社外向けのブログの双方を担う

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まずはじめに、Scrapboxを導入したきっかけを教えてください

「LayerXはブロックチェーン事業黎明期の少し後に参入したので、当初は知らないことがとても多く、『もっと学ばなければいけない』という問題意識がありました。そこで、毎日1時間ほど、テーマを2つくらい決めて勉強会を行い、その結果をコラボレーションツールを使ってwikiにまとめていました。一方で、研究の結果を公開するブログも更新していきたいという思いがありましたが、社内向けのwikiの文章を社外向けのブログの文章に直すのがすごく面倒で……。そんな時にScrapboxを知り、興味本位で使ってみたところ、チームの事情とすごくマッチしました。それから、勉強会でScrapboxを使い、そのまま外部向けに公開することになりました。」

なるほど。確かに御社のScrapboxページは研究の生々しい雰囲気が伝わります。だからこそ周囲も注目しているのかもしれませんね。

研究チームのブログ以外ではどのような使い方をされているのでしょうか?

「エンジニアチームは技術調査でScrapboxを使っています。何かを制作する前にその領域について調べ、関連するツールやライブラリをまとめていく調査メモとして。他には、僕の場合は個人のアカウントも持っていて、社内で共有するまでもないような小さなアイデアとか、整理されていない殴り書きのようなメモなどはそこに書いています。」

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Scrapboxを使ってさらに深まった、チームの“Trustful”な関係

Scrapboxを導入して実際に感じていることを教えてください。

「まず、以前使っていたコラボレーションツールは、一度更新をするたびにリダイレクトされ、毎回セーブされるのにもどかしさを感じていました。研究系のwikiは一行ずつ更新するのが常なので、Scrapboxでその辺のストレスはなくなりましたね。あとは、勉強会そのものも、より一層充実してきたと思います。勉強会の途中で自分のアイコンをつけて質問を入力すると、本題とは違ったところでも議論が盛り上がったり。スライド機能も勉強会では役立ちますね。」

誰かがプレゼンしている間もページ上でツッコミが入る、みたいな感じですか?

「まさにそんな状況が最高に面白いです。Scrapboxを使うことは、『コンテンツにスレッドを立てる』みたいな、“ソフトを使いこなす”イメージではなく、ルールのないところで自由に遊ぶ“公園の砂場”のようなイメージ。誰でも気軽に遊びに参加できてさまざまなコラボレーションが生まれ、私たちのイマジネーションを掻き立ててくれます。」

なるほど。“ルールのない砂場”の秩序を保つために設けている決め事などはありますか?

「いや、ルールは特にありません。というのも、LayerXは企業理念として5つのスローガンを掲げていて、その中に『Trustful Team(信頼できるチーム)』という言葉があります。ブロックチェーンは中央管理者なしで送金等ができるので、Trustlessだといわれていますが、私たちのチームはTrustful。互いを信頼しあい、情報をオープンにしていくという姿勢です。誰でも他の人が書いたノートを編集できるScrapboxの世界観はLayerXの思想と似ているので、最初からチームのメンバーは、ルールを設けなくても自然に使うことができました。」

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「例えば、僕がブロックチェーンに関する論文をまとめているScrapboxページがありまして。そのページは、タイトルに論文のリンクをつけて、その次のタイトルに教授名と大学名を入れて……といった感じで、自分が決めたいくつかのルールに従ってどんどん追加していました。するとある日から、他のメンバーも勝手に僕のルールに合わせて追加してくれるようになったんです。これはScrapboxならではの面白いコラボレーションの形ですね。ルールを決めず、相手を信頼してScrapboxを使うことで、チームの信頼感がさらに増したと実感しています。」

有象無象な情報を結ぶ。Scrapboxと技術研究の親和性

Scrapbox導入による最大のメリットとはなんだったと思いますか?

「一番は、研究チームの個々の活動が可視化されたことが大きいと思います。研究は、例えば『今日は10時間くらいひたすら論文読んで終わり』みたいなときもあるんですけど、それがScrapboxに一言メモとして残っているだけで『この人は今ここに注目してるんだ』とわかります。誰が何しているのかがわかり、特定の技術や知識について、どの人が詳しいか、誰に聞けば良いのかも、すぐにわかるようになりました。」

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「ブロックチェーンは新しい業界なので、情報は有象無象。重要なアイデアがある人のツイートに詰まっていたりとか、個人のブログの中に埋もれていたりして、『この論文を読めば全てがわかる』というものがありません。だからこそ、自分で見つけた有意義な情報をリンクでまとめるという作業をすることがすごく多い。そんな時にScrapboxはとても重宝します。キュレーションが大切な技術研究とScrapboxの親和性はかなり高いのではないでしょうか。」

Scrapbox導入により思わぬ課題が浮上!?LayerXは一緒に働く仲間を募集中!

「ひとつ採用面で困ったことがあって…。今LayerXではリサーチャー、エンジニアをはじめ色々な職種でメンバーを募集していますが、Scrapboxのノートが専門的すぎて、応募することをためらってしまったという声を聞きます…。公開しているのは主に研究チームのページですが、見る側からすると『全員これくらい専門的な知識をもっていなければならない』と思ってしまうのかもしれません。実際は、メンバーによって詳しい領域はバラバラですし、入社したときはみんな右も左もわからない状態でした。色々なバックグラウンドの人に面白い仕事がある会社ですので、ぜひScrapboxのページで判断せず、ぜひ気軽に社内に遊びに来て欲しいです!(笑)」

応募はこちらから!

エンジニア向け: https://www.wantedly.com/projects/264190

リサーチャー向け: https://www.wantedly.com/projects/296982

それは確かに思わぬ課題ですね(笑)。それでは最後に、今後の展望などをお聞かせいただけますか?

「最近日本のブロックチェーン界隈ではかなり定着してきたScrapboxですが、LayerXは国外の会社・チームと仕事をすることも多いので、今後は日本以外でも流行ることを熱望しています!」

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中村様、ありがとうございました!

(文・写真/下條信吾)