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“ファイルの保存場所がわからない”を解消し ドキュメントが急増中。
音源販売プラットフォームを牽引する株式会社クレオフーガのScrapbox活用術
2019年12月3日

2007年の創業以来、「音楽クリエイター・アーティストが活躍する場を創造する」という理念のもと、さまざまな音楽サービスを運営する株式会社クレオフーガ。

現在事業の主軸となっているストックミュージックサービス「Audiostock」は、音楽を“つくる人”と“使う人”をつなぐ場として、25万点もの作品が登録されている国内最大級の音源販売プラットフォームです。

同社は2018年にScrapboxを導入。スタッフの人数は15名と小規模ながら、総ページ数はわずか2年間で4000ページを超え、各人が業務の中でScrapboxをフル活用しています。

今回は同社でScrapbox利用を推し進めた主要メンバーの1人、開発チームの土屋拓人さんに、導入に至る経緯や利用用途について伺いました。

土屋拓人様

株式会社クレオフーガ Technical Lead Engineer

Scrapboxは“簡単の理想形”。社長の号令で一気に全社導入

はじめに、現在御社ではどのような部署でScrapboxを使っているのか教えてください。

「最初は開発チームで使い始め、今は営業、広報、企画、作品管理、カスタマーサポートなど、全ての部署でアルバイトを含む全スタッフ、15名が使っています」

Scrapboxの導入以前は何か別のツールを使っていたのでしょうか?

「はい。以前は他社のドキュメントツールを使っていました。しかし、フォルダ内にファイルを保存するという階層構造をもつツールだったため、どこにどのファイルがあるのかわからなくなるという問題が頻繁に起きていました。例えば、営業チームと開発チームの双方に関わるファイルが営業チームの専用フォルダに保存されていて、開発チームは見つけられないとか。ドキュメントツールの在り方については慢性的に課題を感じていて、常に新しいツールを探していました。Scrapboxにたどり着くまでに『社内Wikiツール』と呼ばれるものは一通り試したと思います」

数あるツールの中からScrapboxを選んだ決め手を教えていただけますか?

「決め手はとてもシンプルで『使い方が簡単なこと』です。部署をまたいでアルバイトを含む全スタッフが使えるツールを求めていました。しかし、試したツールの中には初期段階から設定項目が多く、導入そのもののハードルが高いものや、『とりあえず試験的に使ってみよう』と社内共有してみたものの『使い方がわからない』と問い合わせが殺到して一日で挫折したものなど……なかなか自分たちが思い描く“簡単”をカタチにしたツールに出会えなかったのです。そんな中、Scrapboxを初めて触ったとき、これならリテラシーの高くない人でも最初から直感的に使えるだろうと確信できました」

ツールをScrapboxに移行するうえで苦労や反対の声などはありませんでしたか?

 

「社長から号令をかけてもらい、全社で一気に切り替えたので広がりは早く、スムーズでしたね。現場でも使いづらいという意見は一切なく、反対の声もありませんでした」

 

「社長の号令」とは、どんな内容ですか?

 

「『今日からこれまで使っていたツールには一切記事を書いてはいけません。すべてScrapboxに書いてください。』と」

 

企業のトップがそのような発信をされると移行スピードが加速しますね。社長もScrapboxを気に入ってくださったのでしょうか?

 

「社長が気に入ったというよりも、『開発部が良いというなら間違いないだろう』と後押ししてもらった、という感じです。社風として、スタッフ同士が信頼し合い、フラットに意見を交わし、良いものは積極的に取り入れようという雰囲気があります。移行後も反対の声が上がらなかったということは、それだけScrapboxが全社員に違和感なく受け入れられたということだと思います」

全ての部署で自由に使用!アイコンで“温度感”の伝わるテキストコミュニケーションを実現

現在のScrapboxの具体的な利用方法を教えてください。

「全ての部署で全スタッフがあらゆる使い方をしています。開発チームならテーブル設計書、営業チームならクライアントとの打ち合わせメモ、企画チームならアイデア出しなど。業務外でも、職場の近くの美味しい料理屋さんを紹介するページや社内の音楽制作サークルの活動記録、自己紹介ページなどがあり、みんな思い思いにページを作っています」

御社は岡山と東京に拠点がありますよね。両拠点でScrapboxを使っているのでしょうか?

「はい、両拠点で使っています。2拠点のコミュニケーション活性のために行っている『社内ラジオ』などでコメントやアイデア出しをする際にScrapboxは欠かせません。テキストの隣に書き込んだ人のアイコンが表示されるのがすごくいいですね。メンバーの“温度感”が伝わってくるので、距離の壁を乗り越えて活発な議論が行えます」

プロジェクトの管理はどのようにされていますか?

「プロジェクトは1つだけで、その中にテーブル設計書も個人の自己紹介も、全てのページが並列にあります。フォルダ分けという概念がないので、以前使っていた他社のドキュメントツールのようにファイルが探せなくなるという問題はなくなりました。プロジェクト内に存在する全てのファイルは社員全員の共有財産として活用できます」

Scrapboxに移行後ページ数が急増!白紙の状態から共有し議論を深める楽しさ

Scrapboxのどんなところが気に入っていますか?

 

「やはり、とにかく簡単に、感覚的に使えるということですね。ドキュメントツールをScrapboxに移行してから、たたき台の記事がかなり増えました。以前のツールを使っていたときは、『ドキュメント = 完成されたもの』という意識があったので、調査段階の内容は各自wordなどで書き、ある程度まとまってからツールにあげていました。Scrapboxは書き始めるときのハードルがとても低く感じるので、ちょっとしたアイデアも気軽に書きたくなります。これにより、いい意見が埋もれず、スピーディーにアウトプットされるようになりました。また、Scrapboxは『保存』ボタンがないというのも特徴ですよね。ページを立ち上げた瞬間から全員に共有されるので、白紙の状態で『これからここでアイデアを出していきます』と宣言すれば、途中経過を公開し、さまざまな人の意見を交えながら議論を深めていくことができます」

 

一方で、使い方で困ることはありましたか?

 

「使い始めた頃は、自分が書いた記事を見つけられなくなってしまう人がチラホラいました。『昨日の記事、どんなタイトルで書いたっけ?』みたいな(笑)。全スタッフが頻繁に更新しているので、一覧表示画面で見るとあっという間に下の方に埋もれてしまいます。しかし、この問題は各記事に自分の名前や部署名をタグとして入れることで検索できるようなり、簡単に解決できます。実際、今では困ったという問い合わせもなくなりました。Scrapboxを初めて使う際、従来型のツールの『フォルダで分ける』という概念に慣れている人は、それを『タグ』に置き換えるという発想の転換が必要です。それさえできればScrapboxは圧倒的に使いやすく、検索性も高い、素晴らしいツールだと思います」

 

それでは最後に、今後のScrapbox利用の展望をお聞かせください。

 

「Scrapboxはすでに当社の業務を進めるうえでとても重要なツールです。現在は社内利用に留まっていますが、今後は外部のクリエイターさんとの共有プロジェクトを立ち上げて音楽制作の意見出しに使うなど、さらに活用の幅を広げられそうな可能性を感じています」

 

土屋様、ありがとうございました!

 

(文・写真/下條信吾)