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4度目の正直でfreeeのカスタマーサポートにナレッジ共有を定着させたScrapbox

 

· #会社で使う
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freee株式会社は、100万以上の事業所で利用されているクラウド会計ソフトfreeeや人事労務ソフトfreeeなどを提供しています。

現在、Scrapboxはアドバイザーサポート部門や人事労務ソフトの開発部門など複数の部門で活用いただいていますが、今回はアドバイザーサポート部門の井上健様、中島伸吾様にお話を伺いしました。

皆で蓄積・更新できるツールだからScrapboxを選択

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インタビュー時は人事労務の開発チーム(左から山本様、松崎様)にも同席いただいた

Scrapbox導入のきっかけを教えてください。

井上様:中島とともに何年も前からカスタマーサポートを担当していますが、人が増えた時にナレッジ共通の仕組みを何度作っても更新されずに捨てられる、ということを3回くらい繰り返していました。何度も頓挫するのでナレッジ共有をやめようかと考えた時期もありました。

しかし、確定申告時期のような超繁忙期には新しいスタッフが多数入ってくるので、やはりナレッジ共有の仕組みがないと業務を回しきれません。そこで、ナレッジ共有の仕組みを考えるプロジェクトを立ち上げました。

最初はどのようなツールを使うべきか悩んでいた時に、人事労務の開発チームが上手くナレッジ共有の仕組みを使っていると耳にしたので、ではそれで一回試してみようと思ったのがScrapbox利用のきっかけです。

サポートチームは、エンドユーザー向けのサポートチームと、公認会計士や税理などの士業向けのサポートチームがあり両方のチームで利用を開始しました。士業向けの主担当が中島です。

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中島様

Scrapboxでの仕組み化にコツはありましたか?

中島様:過去の取り組みで他ツールを利用していた時は、あまりにも自由に記述できる分、見栄えも記述の仕方もばらばらになってしまい、使えるようにまとまらないという問題がありました。一方、Scrapboxではデザインが統一されているし、最低限の制約があるので、たくさんの情報を集める時に、いろんな人が作成してもある程度まとまるな、と思いました。

井上様:そして最初は、コンテンツの内容がばらばらにならないように入力ルールの運用コンセプト決めには時間をかけましたね。

中島様:その中で、「誰でも使える、皆で更新できる」というコンセプトにはこだわりました。というのは、エンドユーザー向けサポートチーム在籍時にナレッジ共有に取り組んでいましたが、当時採用していたツールを運用するにはスキルが必要でした。私が士業向けチームに異動するとツールの運用を引き継げる人が誰もおらず、更新されなくなってしまった、という事がありました。

Scrapboxの場合は、高度なリテラシーを必要とせず、誰でも使えそうと思えましたので、これで行こうと決めました。

シンプルなルールだけでコンテンツの蓄積と参照が進む

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井上様

Scrapboxでは誰でも更新できてしまう分、他人に文章を壊されるという懸念を聞くことがあります。その懸念はありましたか?

井上様:100名以上で利用していますが、タイトル命名規則と本文の書き方を決めているため、そのような懸念はありません。当チームでは、何でもコンテンツとして蓄積していくのではなく、顧客からの問い合わせの中で、そのスタッフが回答できなかったものがあれば、問合せ質問文をそのままページのタイトルにして、回答文章をそこに記載するようにしています。このルールに絞って周知徹底していますので、問題が起きることもありません。

他にも工夫されたことはありますか?

中島様:他の工夫としては、運用している途中からCSSでカスタマイズできることに気づき、付箋機能を利用するようしました。付箋は大きさや色を変えられるので、例えば、今週追加されたものは赤色、先週追加されたものは青色のように新しい問い合わせを判別できるようにしています。他にも、ページ一覧画面で新しいものに「new」をつけてわかりやすくするようにしています。

このように業務利用が進んで、半年間で700ページ以上蓄積されるようになりました。

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蓄積が進んでいますね。大量なページがある中で、いま見たいナレッジはどのように探しますか?

中島様:タイトルが質問文になっていますので、顧客に言われた言葉をそのまま入力すれば探し出せるようになっています。

ナレッジ共有で失敗するパターンの一つに、質問文を作成する人が自分の言葉に翻訳してしまうので、かえって探し出せない、即座に使えないという問題があります。それを避けるためにも顧客の言葉で書くようにしています。

質問を重複して蓄積させないためにはどのような工夫をしていますか?

井上様:そのために目次のような質問リスト一覧を作成しています。この目次は、クラウド会計ソフトfreeeのメニュー構成と同じにしており、質問を新規で追加すべきか迷った場合は、該当するメニュー近辺を見れば質問の存在有無がわかるようになっています。

Scrapboxのスタッフへの利用浸透に向けてはどのように取り組みましたか?

中島様:細かな書き方や使い方は、Scrapbox上のページに詳しく書いていますので、読めばわかるようになっています。

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井上様:Scrapboxは使ってみればすぐわかるサービスですが、中途半端に使ってほしくなかったので、初期メンバーには口頭でScrapboxを利用する目的と実際の使い方をしっかりと伝えました。

新たなスタッフの心理的プレッシャーと作業負荷の軽減に不可欠

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Scrapboxの導入効果について教えてください。

中島様:新しいスタッフが早く業務に対応できるようになりました。

会計では専門的な内容が多くて、覚えることが多すぎる一方で、その分野に最初から詳しいスタッフは少ないので、新入のスタッフからは、「やっていけるのだろうか」という声が度々上がっていました。

入社時にfreeeの使い方の研修はあるものの、使い方と会計の知識は別物なので、使い方を知っていれば問い合わせに対応できるわけではありません。さらに、税務や法制度関連など専門的な質問が多く、間違って回答をすると誤った決算書が出来てしまう可能性があるので、正確性も気を付けなければならず、プレッシャーも大きい業務です。

このように入社したてのスタッフには知識面でも心理面でも大きな負担になっていましたので、質問回答を蓄積して対応業務の負荷を軽減できるというScrapboxの意義は大きいと感じます。

その他にはどのような効果がありますか?

井上様:我々のアドバイザーサポート部門には営業も所属しており、カスタマーサポート以外でもScrapboxを利用しています。例えば、営業が顧客提案時に「このようなことはfreeeでもできるのか」と聞かれた際にはScrapboxで検索して確認する、という使い方も出てきています。

他部署にもScrapbox上のナレッジが役立っているのですね。

井上様:粘り強く毎週のように、「ナレッジを使っていますか?」「今週このような情報を更新しましたよ」と伝えており、顧客からの質問をナレッジのおかげで回答できた営業からは「いつも助かっています」「勉強になります」などと言ってもらえるようになってきました。

費用対効果5倍の可能性あり?

Scrapboxで仕事の効率性は高まりましたか?

井上様:仕事の効率性をデータで客観的に分析していないので、効率が高まったとは断定できませんが、メンバーからは検索しやすくて回答に役立つという声は挙がっています。

我々の部門ではROI5.0という、投じた費用の5倍の効果を獲得しようという目標があります。Scrapbox導入前は、ドキュメントが様々な場所に散逸していたのに対し、現在のScrapboxはナレッジ共有を実現するハブになりつつあるので、費用対効果5倍になっている可能性があります。

中島様:継続的にナレッジ共有のハブとして使うには、定期的(例:週1、隔週くらい)に発信することが重要だと考えています。どうしてもツールの存在は忘れがちなので、こういう情報を更新しました、というように定期的に伝えるようにしています。

今後はScrapboxをどのように活用する予定でしょうか?

井上様:これまではコンテンツの蓄積に重きを置いていましたが、ある程度蓄積できた後は、コンテンツの鮮度をいかに維持するかが重要になってきます。Wikiのようにチームメンバー全員で管理できることを目指していますので、特定の管理者に頼るのではなく、全員でチェックする、更新作業を行うという意識の浸透を粘り強く図っていきたいと思います。

また、今後のカスタマーサポート業務としては、顧客がカスタマーサポートに到達する前に回答情報を得ることで問い合わせ数を減らしたいと思っていますので、Webサイト上のFAQの拡充やチャットボットを通じた質疑応答などを進めていきたいと考えています。この際に、回答情報を蓄積しているScrapboxがWebサイトやチャットボット等と連携できるようになると、回答精度の向上に結び付くと思われますので、そのような活用にも期待しています。

Scrapboxについて

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企画書、社内マニュアル、議事録など、チームに必要なドキュメントを共同で瞬時に作成できます。ドキュメント同士を関連性を元に自動で繋げ合い、何千、何万ものドキュメントを管理する苦労から解放してくれることが特徴です。