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60名のデザインチーム「Goodpatch Anywhere」から学ぶ、フルリモートワークにおけるScrapbox活用

· #会社で使う
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UI/UXに特化したデザイン会社である株式会社グッドパッチ( Goodpatch Inc.)。

UI/UXデザインを強みとして、スタートアップから大企業、新規事業からリニューアルまで、多岐にわたるプロダクトを手がけています。

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同社は2018年にクライアントワークをフルリモートで行う新規組織 「Goodpatch Anywhere」を設立。次世代の働き方にフィットする新たなデザインチームの在り方を体現しています。

そんなGoodpatch Anywhereが仕事を進めるうえで、現在必須なツールのひとつとなっているのがScrapbox。一体どんなシーンで、どのようにScrapboxを使っているのでしょうか?Goodpatch Anywhere 事業責任者の齋藤 恵太様にお話を伺いました。

齋藤 恵太様

Goodpatch Anywhere 事業責任者

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2008年よりデザイン会社にてマークアップエンジニア・ディレクターとして多数の案件を担当。ウェブ案件を中心に、HTMLやWPF、JavaScript、ActionScript3.0、Unity、iOSなどを経験し、徐々にディレクター業に転換。

2013年にグッドパッチにジョイン。マネーフォワード iOS App(グッドデザイン賞受賞)や大手新聞社新規メディアアプリのデザイン、大手通信キャリア公式iOSアプリ、FiNC Technologiesのアプリ・サービスデザイン(Google Play Best of 2018 自己改善部門大賞受章)に従事。

2018年10月よりフルリモートチームによるデザイン提供を行う「Goodpatch Anywhere」を事業責任者として立ち上げ。新たにゼロからデザイン組織を構築し、クライアントのデザインパートナーとしてサービス提供を行なっている。

「デザインの力を証明する」Goodpatch Anywhereとは?

まず、Goodpatch Anywhereのデザインチームの人数やロケーションを教えていただけますか?

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メンバーはフリーランスや副業で働くデザイナーやエンジニアなど、約60名が関わっています。ロケーションは国内だと東京を中心に北海道から大阪、福岡、沖縄など。国外にもドイツやイギリス、ポーランド、マレーシアにメンバーがいます。今のところ国外にいるデザイナーやエンジニアも含めて全員日本人なので、コミュニケーションはすべて日本語です。」

「フルリモートチーム」に着目し、別事業としてGoodpatch Anywhereを立ち上げた理由を教えていただけますか?

「当社は『デザインの力を証明する』というミッションを掲げ、事業を展開しています。デザインでより良いサービスや良いプロダクトに関わり、ミッションを高い水準で成し遂げたいと考えた時に、多くの仲間を集めていく必要がありました。そこで着目したのが、各地でフリーランスとして働くデザイナーの存在だったんです。」

「彼ら・彼女らの中にはさまざまな課題を抱えている人が多い。いくつか例をあげると…企業から独立してフリーランスになった途端、LPやバナーの制作など、制作会社が切り出して発注しやすい仕事ばかりになってしまったり。他には、都心でバリバリUXデザインの仕事をしていた人でも、家族の事情などで地方に引越しをしてデザイナーを続けようとすると、UXデザインに力を入れるような予算のある仕事があまりなかったり。また、結婚をして出産のタイミングで育児休暇に入ったまま現場に戻れない人も少なくありません。「渋谷のオフィスでフルタイムで働く」というハードルのせいで自分の力を活かせない有能なデザイナーがたくさんいるということです。その問題を解決することで、私たち企業側にとっても、デザイナーにとっても新しい世界が開けるのではないか……そう考え、Goodpatch Anywhereを立ち上げました。」

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オンラインミーティングで使い方をレクチャー。リモートワークならではのScrapbox利用

フルリモートチームを実現するためにはさまざまな課題があったと思いますが、最大の課題とはどんなものでしたか?

「やはり『コミュニケーション』における課題です。メンバー同士のリアルなコミュニケーションができないフルリモートでチームを作るためには、それを補うオンラインのツールが必要不可欠。チャットやオンラインミーティング、デザインツールなど、仕事の環境をほぼすべてオンライン上で構築しています。その中でテキストをアウトプットするためのドキュメンテーションツールもいくつか試してきましたが、投稿が活発になるという状況はなかなかつくり出せませんでした。そこで導入したのがScrapboxだったんです。」

齋藤さんはScrapboxの存在はどのように知ったのでしょうか?

「以前クライアントワークで株式会社FiNC Technologiesさんをお手伝いしていた時、ちょうどScrapboxを導入されていて。そこで初めて仕事として本気で使われているScrapboxを体感しました。瞬く間に利用者が増え、広がっていく様子を間近に目撃して、フルリモートのチームでも使えるのではないかと。」

現在の具体的にどのような用途でScrapboxを利用していますか?

「まずはミーティングのアジェンダですね。メンバーが同じ情報を常に共有することで認識を合わせ、齟齬をなくします。もうひとつは用語集としての使い方。デザインの仕事はカタカナ言葉が多かったり、新しい概念が頻繁に入ってきたりするので、なかには言葉の意味がわからない人や、その言葉を違った意味で捉えている人もいます。また、プロジェクト毎に新しいクライアントや業界と関わっていくため、その業界用語を理解していくためにも使います。Scrapboxは、リンク機能でそのワードから関連するページを閲覧できるので、ページを書き込むほどに共通の理解が生まれ、深まっていきます。他には個人のメモ帳として使っている人もいれば、自己紹介のページを作っている人もいて、使い方はかなり自由です。」

フルリモートということで、新しくジョインするメンバーに対して、どのように使い方を教えているのか気になります。みなさん使いこなしていますか?

「週に一度、ナレッジタイムという会を開催しています。もちろんオンラインで。Scrapboxのページを画面に映しながら更新しています。10人とか15人くらいでいろいろなページを更新していくと、初めて入ってきたメンバーにも使い方が伝わりやすいだけでなく、『みんなで更新する』というScrapboxならではの楽しさも実感できるんです。同時にオンラインミーティングの様子を動画として残しておくことで、参加できなかったメンバーにも共有できます。」

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オンラインミーティングのツールを活用するというのはリモートのチームならではのユニークな使い方ですね。国外で働くメンバーも多いとのことですが、国境でまたいでScrapboxを使うことに対して、課題感などはありますか?

「それは特にないですね。時差はありますが、それは仕方がないことなので。まったく問題なく使えています。」

デザイナーが“待ちの姿勢”から脱却。Scrapbox利用を促進し、フリーランスのコミュニケーションハブを目指す

Scrapboxを導入したことで組織に何か変化はありましたか?

「新規ページ作るときの手軽さとスピード感が他のドキュメンテーションツールと比べて段違いじゃないですか。以前より圧倒的に利用されるようになり、コミュニケーションは活発になりました。通常デザイナーやエンジニアを中心としたリモートチームって、チケットベースで各自が独立してタスクをこなしていくみたいな、“待ちの姿勢”になりがちです。私たちが目指すのは、リモートであってもコミュニケーションの量が多く、その中で各メンバーが自発的に活躍できるチーム。リアルタイム性の高いScrapboxは、それを体現するうえで重要なドキュメンテーションツールです。また、プロジェクトによってはScrapboxページをクライアントとも共有しています。これにより、クライアントにとって我々がただの「発注先」ではなく、「デザインパートナー」であるという理想的な関係に築くことができています。」

それでは最後に、今後Scrapboxによって実現したいことを教えていただけますか?

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「これは企業としてというよりも、多様な働き方に関して思うことですが…。Goodpatch Anywhereの案件に関わるエンジニアやデザイナーの多くは、『フリーランス』という独立したスタイルを選んでいます。フリーランスという立場は組織に属して働く人に比べ、他者とコミュニケーションする機会がとりづらく、新しい技術を学ぶ機会も少なくなってしまいがちです。特に地方にいると、イベントも少ないし同業者も少ないため、どんどん閉じていってリスクをとりにくい状況に置かれてしまうため、『自分の持っている力の中で仕事を受ける』という考え方になりがちです。一部の強い人だけが生き残る状況を作るだけでは、デザイン業界は健全な成長ができないという危機感もあり、そうしたフリーランスの課題を解消すべく、Goodpatch Anywhereがハブになり、みなさんのコミュニケーションの場として成長を手助けできればと。メンバー全員がリモートでもそれぞれの発言や提案をフラットにできる環境を構築するうえで、Sclapboxはとても有効だと思います。」

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齋藤様、ありがとうございました!

(文・写真/下條信吾)